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離婚調停あるいは離婚訴訟にともなう年金分割事件

 離婚調停あるいは離婚訴訟にともなう年金分割事件がふえてきました。

 なお、法律相談をしていると、妻が、自営業者の夫に対して年金分割を求めたいという相談が時々ありますが、あくまで、婚姻期間中に、夫が会社員、公務員として勤務したことが前提となりますのでご注意下さい。

 まず、年金分割のためには、最寄の社会保険事務所に必要書類を添えて、「年金分割のための情報提供請求書」を提出して、「年金分割による情報通知書」を取寄せなければなりません。郵送でもかまいません。
 なお、「年金分割のための情報提供請求書」には、「請求者本人の国民年金手帳、年金手帳または基礎年金番号通知書」「婚姻期間等を明らかにすることができる書類(戸籍謄本等)」の添付が必要です。最寄の社会保険事務所にお問合わせ下さい。

「年金分割による情報通知書」には、以下の記載があります。

 「第1号改定者」
  年金分割によって年金を相手にもっていかれる人のことです。 通常夫です。
  妻が請求した場合、夫の「氏名」「生年月日」は記載されていますが、基礎年金番号は「****」(省略)となっています。

 「第2号改定者」
  第1号改定者から年金をもらえる人になります。 通常妻です。
  妻が請求した場合、夫の「氏名」「生年月日」は記載されていますが、基礎年金番号が記載されています。

 「婚姻期間等」
  年金分割の対象となる婚姻期間のことです。

 「対象期間標準報酬総額」
  年金分割の対象となる期間の標準報酬月額や標準賞与額を合計したものに再評価率をかけて計算されたものです(「再評価」とは、昔の物価水準を現在の物価水準に置換えて評価しなおすことです)。
 「第1号改定者」「第2号改定者」それぞれの金額が記載されています。
  夫(第1号改定者)の「対象期間標準報酬総額」には「○○○○万○○○○円」という記載があります。
  妻が、全く会社員勤めをしていなければ、「第2号改定者」の「対象期間標準報酬総額」は「0円」という記載があります。妻が、専業主婦であるものの、結婚前に会社勤めをしていれば、妻の「対象期間標準報酬総額」には「○○○万○○○○円」という記載があります。

 「按分割合の範囲」
 「第1号改定者」「第2号改定者」対象期間標準報酬総額によって決まります。
 「第1号改定者」の「対象期間標準報酬総額」がX円、「第2号改定者」の「対象期間標準報酬総額」がY円ならば、Y÷(X+Y)が最低の分割割合(パーセント表示)で、最大の分割割合は50%(不動文字で記載されています)です。
  全く、妻が夫の年金を取得しない場合は、最低の分割割合、年金を半分半分にわける場合は50%です。


  妻から夫に年金分割請求をする場合は、通常、50%を請求するでしょう。
  夫側は、50%から、できるだけ低いパーセンテージでまとめようとします。

 なお、離婚訴訟を弁護士に依頼しないで提起するということは事実上不可能なので、弁護士の指示に従い必要な書類を取寄せてください。弁護士が、それにより訴訟を提起します。

 また、調停申立は、本人でも可能です。
 裁判所書記官の指示に従って、調停申立書を記載してください。

 離婚とともに年金分割をする場合、離婚についての合意、財産分与、未成年の子の親権・養育費、慰謝料など、すべてが合意ができた場合には、そこで調停は成立です。調停不成立の場合は、弁護士に依頼して訴訟提起をおすすめいたします。最終的に和解ができないときは、判決ですべての事項について判断されます。

 なお、離婚届けを既に提出している場合、調停が円満に成立すれば、そこで年金分割も円満に成立します。調停不成立の場合は、審判移行しますが、他に、財産分与を求めている場合、分割のパーセンテージに差がありすぎるというときなどは、弁護士に代理人になってもらうことをお勧めいたします。



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