親権の喪失の宣告、管理権の喪失の宣告という制度があります。
親権の喪失の宣告については、民法834条に以下のとおり定められています。
「 父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができる」
管理権の喪失の宣告については、民法835条に以下のとおり定められています。
「親権を行う父又は母が、管理が失当であったことによってその子の財産を危うくしたときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その管理権の喪失を宣告することができる」
「親権・管理権の喪失の宣告・取消し事件の新受・既済等の推移」 と、 「平成20年の親権・管理権の喪失の宣告・取消し事件の事件数の動向」 をご覧下さい。
事件としては、双方合計で全国で年間100件程度ですから、珍しい事件ということがいえます。
また、認容率も非常に低いということがわかります。
「平成20年の親権・管理権の喪失の宣告・取消し事件の事件数の動向」をみると、おもしろいですね。
親権・管理権の喪失の宣告申立については、父または母からの申立が1件も認められていません。
結局、親権をとれなかった親が、相手側を「親権を濫用」「著しく不行跡」と避難して申立てるわけですが、裁判所からは、全く相手にされていないことがわかります。
認められているのは、母方祖父母7件、父方おじおば、その他親族、児童相談所所長からの申立で、ある程度「客観的」な関係の人からの申立で、また、数もわずかです。
感情的に申立てている父母(親権をとれなかった方なんでしょう)からの申立の認容率は圧倒的に低いですね。
管理権の喪失の宣告申立については、本当に事件がないですね。
年間認容件数1件。
ちなみに、民法838条には
「 後見は、次に掲げる場合に開始する。
一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき」と記載されています。
弁護士は、こんな申立をしたり、事件本人の代理人になったりしないものです。
しかし、長くやっていると、まれな事件にあたることがあるんですよね