私はみていないのですが、先日のテレビ放送で、現在、死亡者100人につき1人は、遺産分割の調停がおきているという内容の放送をしていたようです。
1%を高いとみるか低いとみるかは評価の別れるところでしょう。
ということで、自分が死んだ後の「争続」を未然に防ぐためには、遺留分をおかさない程度の内容で、遺言をした方がいいのかも知れません。
基本的には、弁護士に依頼して、公正証書で遺言をしておくのが確実だと思います。
結構、公正証書遺言をつくっていたとしても、その有効性を争ってくる法定相続人はいます。
まず、よくあるのが「老人性認知症(昔は「痴呆症」と言われていました)で遺言能力がなかった」という主張です。
普通は、公証人は、通常裁判官・検察官のOBで、「遺言できるだけの能力がある」と判断した場合にのみ、遺言書が作成をつくるということになっているので、「そんなことはあり得ない」と考えられる方もおられるかも知れませんが、案外、判決になると、カルテなどから、「遺言能力なし」と判断される場合があります。
公証人は医師ではありませんし(医師資格と法曹資格をもっておられる方もおられますが、通常は「弁護士」と「医師」のどちらか、あるいは、「弁護士」と「医師」双方の仕事をされている方がほとんどのようです)、また、公証人が「弁護士の顔を立てて」、無理な遺言をつくるということが皆無ではないようです。
次によくあるのが「替え玉」という主張です。
公証人が「本人確認」をするのは、実印と印鑑証明ですから、似たような歳格好の「替え玉」をたて、本人に似せた字をかかせたという主張をされることがあります。本人が死亡していますから、筆跡鑑定は難しくなります。
一度でも、そのような苦い経験をされた弁護士は、通常、公証人役場で「記念写真」をとり、公正証書正本と一緒に保管しておきます。本人、公証人、弁護士、証人が写っていますから「言いがかり」であることは明白になります。
苦い経験をしていなくても、少し利口な弁護士さんは「記念写真」をとっています。
弁護士なら誰でもいいというわけではないようです。
やはり、紛争の場数を踏んだ弁護士、あるいは、場数を踏んでいなくても能力のある弁護士に依頼することが必要になります。
ただ、誰が「紛争の場数を踏んだ弁護士」か、誰が「場数を踏んでいなくても能力のある弁護士」か、などの判断を一般の方がするのは難しいでしょう。
しっかりした紹介者の推薦のある弁護士さん本人(事務所の若い弁護士さんではなく)に依頼するというのが、無難なやり方だと思います。
なお、信託銀行も、遺言を扱っているようですが、弁護士のように、「実戦経験豊富」で、「常に対戦モード」ではありませんから「脇が甘い」ようにも思います。
信託銀行がらみの、無効の公正証書遺言は、これから増えると思われます。