過去に拘泥するのは損です

　ある若い裁判官の和解交渉術です。

　離婚、婚約破棄、結婚詐欺、あるいは結婚詐欺まがい（財産の移転がないもの）など、男女間の紛争は、法的に解決してからも、一方が、相手方のことを「恨みに思い続けると」損をするのは他ならぬ自分であり、早く解決して早く忘れ去ることが大切ですよという話でした。
　こういうことは、弁護士はよく依頼者にいいます。

　その裁判官のおもしろいところは、中島みゆきの「空と君のあいだに」の一節の「憎むことでいつまでもあいつに縛られないで」を引用して、「あんな男を憎んでもしかたがないですよ」「これからなんだから、早く決着をつけて、このことは忘れませんか」「前を向いて生きていきましょうよ」という話をしました。

　結局は和解は成立しました。
　言ってたことは私も同じなのですが、依頼者が納得したのは、裁判官の「お言葉」のためでしょうか？