興信所と聞いて、まず、何を連想しますか。
「素行調査」でしょうか。
裁判で、もっとも目にするのは、やはり「素行調査」です。
配偶者の様子がどうも怪しいと思ったとき、興信所に素行調査を頼みます。
これが結構高くて、1日10万円程度とられます。
もっとも、だから10日間依頼をしたときに100万円になるというわけではなさそうです。
弁護士は、興信所を紹介するにとどまりますから、いくら払ったか依頼者に聞くわけですが、数十万円払ったというケースが多いようです。
おわかりかと思いますが、「浮気」の慰謝料はそれほど高くありませんから、弁護士に支払った報酬より、興信所に支払った報酬が高かったということも、よくあることです。
浮気の場合、ラブホテルに出入りする写真をとれば、まず確実です。
シティーホテルの場合は、客室に出入りするところを写真にとらねばなりません。
一般の家の場合は電気が消えるところまで、また、念入りにやろうとすれば、朝まで待機して、家から出ていく写真をとるということになります。
まあ、これらの写真があれば、争うのはあきらめます。
逆にいえば、不十分なら、否認して争うこともありうるということになります。
交通事故に関して、保険会社が依頼する場合もあります。
首が動かないはずの患者が、何の問題もなく自動車を運転しているところを写真にとられたら、自称「被害者」は一巻の終わりです。
私の経験では、労災事件で、感電のために右手が動かないはずなのに、右手でドアの取っ手を持って開けたり、両手で財布を開けて小銭を出したりするところをビデオにとったおかげで、会社が、億近い金を支払わずに済んだということがありました。
医師の「右手が全く動かない」との診断書が証拠として提出されていましたが、一体、あれは何だったんだろうと今でも思っています。
これらの他に、裁判にはなりませんが、取引先の会社、取引しようとする会社の信用状態を調査することがあります。
やはり、情報を得たものが有利になるという理屈は変わりません。
不渡手形をくらってはたまりませんし、取込み詐欺にあってもかないません。
また、どのような方法をとっているのか知りませんが、銀行預金の調査を頼むと、金融機関・支店・預金残高を調べたりすることができますし、借金の有無、借金先、借入・返済状況なども調べることができるようです。
前者の場合は、内部に通報者がいるのかもしれませんし、後者の場合には、信用情報にアクセスできる人が不正利用していることが考えられます。
銀行預金の場合は、偶然知ったような顔をして差押え・仮差押えに利用するのですが、借金の場合は、そのまま証拠として出すわけにはいきません。どのように工夫して裁判に利用するのでしょうか。
興信所からの過大請求被害が問題となっているようです。
特に、許認可の必要な業種ではありませんから「野放し」状態です。
いずれ、事件を弁護士に依頼するつもりなら、弁護士に紹介してもらうのが安全かもしれません。